青春映画の不朽の名作が、
20年の歳月を経て
《4Kレストア・デジタルリマスター版》で甦る!
1997年、中国返還直後の香港で、新人監督による一本の低予算&ノースター映画が公開された。まったく演技経験のない素人の主演俳優と、たった5人のスタッフ。そして、知人から借りた8万ドルの制作費と、名優アンディ・ラウから譲り受けた4万フィートの期限切れのフィルム――。その35mmフィルムに焼き付けられたのは、香港人が抱える心情とシンクロする現代社会の閉塞感であり、複雑な家庭環境で生まれ育った少年少女の純愛物語。そして、行き場を失った主人公の感情が爆発した後に訪れる、衝撃的かつ美しいラスト。そんな眩しいほどの青春の瞬間と、スタイリッシュな映像×音楽の融合だった。
まさにリアルな香港の姿を捉え、瞬く間にセンセーショナルな話題を呼んだ作品は、メジャー大作を押しのけ、半年間のロングランヒット。自主レーベルからリリースされたサントラも異例のヒットを記録したほか、香港電影金像奨(アカデミー賞)ではグランプリ・監督賞・新人俳優賞の3冠に輝いた。またその勢いは海外の映画祭でも認められ数々の賞を受賞、イギリスのインディーズ映画を代表する青春映画『トレインスポッティング』に続く、香港インディーズの存在感を示す青春映画として世界の注目を集めるなど、まさに“香港映画史を変える伝説”となった!
あれから20年、あの青春映画の不朽の名作『メイド・イン・ホンコン/香港製造』が、「4Kレストア・デジタルリマスター版」で甦る!!
たった1作で、次世代を担う俊英として注目され、続けて「香港返還三部作」として、『花火降る夏』(98年)、『リトル・チュン』(00年)を発表。さらには、ハリウッド進出も果たしたフルーツ・チャン監督。そして、街中でスケボーをしているところを監督にスカウトされ、主人公の青年・チャウを演じたサム・リー。時代を象徴する若者のアイコンとして人気を博し、『ジェネックス・コップ』シリーズなどの大作・話題作に出演。また、ファッションリーダーとしてモデル活動やラッパーとしても活躍するほか、松本大洋の人気コミックを実写化した『ピンポン』では主要キャラを務めるなど、日本でも多くのファンを獲得。彼らはまさに、“ホンコン・ドリーム”を手にすることになった。
今回の「4Kレストア・デジタルリマスター版」は、イタリア「ウーディネ・ファーイースト映画祭」のオーガナイザーであるサブリナ・バラティが、“香港映画史を代表する一本”として選定。フルーツ・チャン監督と撮影を務めたオー・シンプイ指揮の下、3年の歳月をかけて制作された。そして、17年7月の本映画祭での上映に先駆け、4月の「香港国際映画祭」で初お披露目となった香港では、返還20周年にあたる7月1日からリバイバル公開。14年の雨傘革命(香港反政府デモ)を経て、社会が大きく揺れ動くなか、ふたたび大きな話題を呼んだのは言うまでもない。
また、ジャパンプレミアとなった「第30回東京国際映画祭」では、前年、大きな話題となった『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』と同じアジアの名作を紹介する「ディスカバー亜州電影」に取り上げられ、計2回の上映チケットは即日完売した。初公開時に熱狂した映画ファンはもとより、当時を知らない若者層の心をもつかみ、時代や世代を超える“圧倒的な作品力”を魅せつけた。
■1997年ロカルノ国際映画祭審査員特別賞・欧州芸術映画館連盟大賞・欧州青年観客賞
■1997年ナント三大陸映画祭グランプリ・青年審査員賞
■1997年ベルギーNOVO映画祭グランプリ・監督賞
■1997年スペインGIJON国際青年映画祭グランプリ・最優秀脚本賞
■1997年釜山国際映画祭国際批評家協会賞
■1998年香港電影金像奨グランプリ(最優秀作品賞)・最優秀監督賞・最優秀新人俳優賞
■1998年台湾金馬奨監督賞・オリジナル脚本賞
香港返還前、若者たちの最後の叫び、躍動。
この青春の風景は、懐かしいようで、新しい。
これはまさに「時代」が作らせた映画であり、
この独特の瑞々しさを現代で表現することは不可能だと思います。
石井裕也
『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』
久しぶりに見ても色褪せないどころか、色褪せてからが本当だった。
薄汚れて、日に焼けて、嫌になる程見えたのは、紛れもない色だった。
思わず、それが「青春」とか言ってしまいそうになった。
尾崎世界観
ロックバンド「クリープハイプ」ボーカル・ギター。
同じ作り手にも、その時代、瞬間、面子でしか成し得ない名作が存在する。
『イージーライダー』『悪魔のいけにえ』……
若さはあらゆる不遇を越えて普遍的な輝きを掴み取り、世界を切り開くのだ。
清水崇
『こどもつかい』『呪怨』
リリカルで刹那で、やる瀬ない。最高のチンピラ映画だ!
主人公の佇まいが美しくて、スポーツ刈りのヒロインはどうかと思っていたが大好きになってしまったし、
薄らバカの子分も愛らしかった。
古泉智浩
『青春★金属バット』『ライフイズデッド』
物語は大体がひょんなことから始まる。
変わらない日常の中で突然何かを得たり、何かを失ったりする。
それを1番経験する時のことを青春と呼ぶのかなと思います。
たとえ残酷な結末が待っていたとしても輝いていたそのひと時はかけがえのない青春だったんだと思いました。
伊藤沙莉
『獣道』『パンとバスと2度目のハツコイ』『榎田貿易堂』(6月公開予定)
誰しも、忘れられない青春映画を心のなかに持っている。
私にとって、高校時代に出会ったこの映画こそ、まさに自分だけの青春映画だった。
そしてサム・リー演じるチャウは、私が初めて出会った等身大のヒーローだった。
月永理絵
『映画酒場』の編集・発行人。雑誌『映画横丁』編集人。
香港返還という歴史的な画期を直接・間接に扱った映画作家は少なくないが、
フルーツ・チャンほどこのテーマと徹底的に付き合った者はいない。
とりわけ「メイド・イン・ホンコン」には香港人の深層心理がぎっしり詰まっている。
石坂健治
東京国際映画祭「アジアの未来」部門プログラミング・ディレクター
素直に羨ましい!と思いました。
経験や計算ではなく‘その時代‘‘その瞬間‘にしか出せない表現力。
スクリ―ンから溢れ出すエネルギ―に、鑑賞後、自分もチャウ達と“共に生きた”という感覚をおぼえました。
葉山奨之
『青空エール』『きょうのキラ君』 TV「セトウツミ」
狭い団地から抜け出し、彼らと見たものは、青く、無垢なエネルギーに満ち溢れた世界だった。
老いることの無い彼らに、いつも勇気づけられる。そうだ。落胆することはない。
世界は若者のものだ。
藤村明世
『見栄を張る』『十年 Ten Years Japan』
終わらない夢精と汗と血が彼らの青春を証明してくれていた。
ベリーショートの彼女が取り出した『変な袋』から漂う死の匂いが映画を覆い尽くすけれど、
それは全く悲しくない!それがすごい。
岩切一空
『花に嵐』『聖なるもの』
アイデア満載の演出が全てに行き届いているのに、あざとくなくピュア。
メローだけどエネルギッシュでキュート。フルーツ・チャン監督、憎いです。
僕が欲しいものばかりが詰まっていました。ほんと勉強になります。
小林啓一
『逆光の頃』『ぼんとリンちゃん』
1997年7月は僕ら華僑に取っても特別な日であり、2018年現在
香港で聞こえてくる北京語に幸せを感じざるを得ません。
そんな事を考えさせてくれた『香港製造』は自分にとって生涯忘れる事の無い一作になりました。
素晴らしい映画に、謝謝!
テイ龍進
『スマグラー』『風に濡れた女』『図書館戦争』
この二十年で、確かに、香港は変わった。
でも、ジャンク寸前のフィルムに焼き付けられた3人の眩しい笑顔は、あの瞬間のままだ。
くれい響
最初から最後までずっと熱い作品。
主人公のチャウをはじめ、登場する人たちの力強くて真っ直ぐ生きていく輝きが眩しかったです。
スタイリッシュでかっこいいこの作品を自分の言葉で表すのが難しい。
とにかくこの映像が頭から離れません!
高杉真宙
『散歩する侵略者』『逆光の頃』『PとJK』